那須川天心選手は、日本の格闘技界において“神童”として知られる存在です。
幼少期から極真空手でその才能を開花させ、小学5年生でジュニア世界大会優勝を果たします。
その後、キックボクシングへ転向し、わずか15歳でプロデビュー。47戦全勝という驚異的な戦績で数々のタイトルを獲得してきました。
特に注目されたのは2022年6月の武尊選手との一戦で、これがキックボクシングでの集大成となりました。
この試合を機にボクシングへ転向した那須川天心選手は、プロボクサーとしての新たな挑戦をスタート。現在、バンタム級で世界ランキング上位に位置し、今後の活躍に期待が寄せられています。
本記事では、那須川天心選手の経歴を詳しく掘り下げ、格闘技を始めたきっかけから、ボクシング転向に至るまでの軌跡を紹介していきます。
この記事を読めば、那須川天心選手の試合を、より熱く観戦できるようになるでしょう。
Contents
那須川天心のプロフィール
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まずは、那須川天心選手のプロフィールを見ていきましょう。
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1998年、千葉県生まれ。幼少期より極真空手で活躍し、小学5年生でジュニア世界大会優勝を飾る。
その後、キックボクシングへ転向し、2014年7月に「RISE」でプロデビューを果たす。
2015年5月には史上最年少の16歳でRIZEバンダム級王座を獲得。その後も、数々の大会やトーナメントで勝利し、19歳で初代RIZEフェザー級世界王者に輝く。
2016年〜2023年まで日本最大の格闘技団体「RIZIN」と長期大型契約を結び、2022年6月に行われた武尊戦での勝利を最後にボクシングへの転向を表明。
2023年4月8日、日本バンタム級2位の与那覇勇気選手との一戦でプロボクシングデビュー。現在(2024年9月時点)の世界ランキングは、WBCバンタム級3位、WBAバンタム級2位となっている。
11歳 空手世界一
12歳 キックボクシングを始める
13歳 ベルトを沢山とる
14歳 格闘家として生きると決める
15歳 プロデビュー
16歳 RISEバンタム級王者
17歳 BLADEトーナメント王者
18歳 MMAデビュー
19歳 RISE フェザー級王座
20歳 メイウェザーと戦う
21歳 RISEWS 優勝
#10年を振り返る— 那須川 天心 (@TeppenTenshin) September 24, 2019
那須川天心が格闘技を始めたきっかけは?
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那須川天心選手が極真空手を始めたのは5歳のころ。
“しっかりと礼儀を身につけるため”という、父・弘幸さんからのすすめがあったことが、格闘技を始めたきっかけです。
最初は嫌々空手の稽古に通い、道場から逃げ出すこともしばしば。
しかし、幼稚園の時に初めて出場した大会で負けたことが、那須川天心選手の“負けず嫌い”に火をつけ、そこから格闘技漬けの生活が始まりました。
「僕は今キックボクサーとしてやっていますが、僕の背景は武道ですし、5歳からずっと空手をやっていたので今でも武道の気持ちは忘れてないです」
引用:GONG
ちなみに父・弘幸さんは、学生時代にサッカーで全国大会に出場した経験があり、那須川天心選手も格闘技を始める前はサッカークラブに通っていました。
しかし、そのプレーを見た父・弘幸さんは「センスがない」と判断。
サッカー選手としての才能を見切った父・弘幸さんの決断も、那須川天心選手が格闘技を始めたきっかけの一つといえるでしょう。
那須川天心の学歴とエピソード
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5歳から空手を始め、幼少期から格闘技漬けの毎日を送ってきた那須川天心選手。
ここでは、そんな那須川天心選手の学歴を紹介していきます。
- 松戸市立栗ヶ沢小学校
- 松戸市立栗ヶ沢中学校
- 千葉県立松戸南高等学校
学生時代のエピソードとともに、那須川天心選手の格闘技人生を振り返っていきましょう。
松戸市立栗ヶ沢小学校
那須川天心選手が通った小学校は、地元・千葉県松戸市にある松戸市立栗ヶ沢小学校です。
小学校入学後も空手を続け、小学4年生のときに出場した全国大会で優勝を飾ります。
さらに、小学5年生では極真空手ジュニア世界大会で優勝。しかし、この頃から空手に対して“やり切った感”があった那須川天心選手は、テレビを見て憧れたキックボクシングへの転向を決意します。
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また、格闘技以外でも運動神経の良さを発揮していた那須川天心選手は、マット運動や陸上競技で他の子に負けることはほとんどありませんでした。
特にマラソン大会では、「誰にも自分の前を走られたくない」という“負けず嫌い”を全面に出した走りをみせ、6年連続で1位だったというエピソードがあります。
ただ、球技だけは得意ではなかったようで、サッカーで全国大会出場経験のある父・弘幸さんのことをうらやましく思っていたそうです。
松戸市立栗ヶ沢中学校
那須川天心選手が通った中学校は、松戸市立栗ヶ沢中学校です。
小学6年生のときにキックボクシングに転向した那須川天心選手は、ジムには所属せず出稽古に出向いて技術を磨きました。
そして、中学生時代に出場したムエタイチャレンジ、藤原敏男杯2012全国大会・2013全国大会、全日本新空手道選手権大会で優勝を飾るなど、アマチュアでの戦績を積み重ねていきます。
那須川天心選手がアマチュアキックボクシングで残した戦績は「105戦99勝5敗1分37KO」。数々のアマチュア全国大会・世界大会のタイトルを総ナメにし、「ジュニアのパウンド・フォー・パウンド最強」と称されました。
画像引用元:Number Web
格闘技で圧倒的な強さを見せる那須川天心選手ですが、「人生で1回もケンカをしたことがない」と言います。
中学生時代のある日、他校の生徒がケンカで栗ヶ沢中学校に乗り込んでくるという流れになり、不安になっていた那須川天心選手。
しかし、当時動画サイトに投稿されていた那須川天心選手の試合動画を見た他校の生徒が、その強さに驚き、乗り込むのを断念したというエピソードがありました。
強いから誰とでも戦うのではなく、格闘技とケンカは別物と捉えている、那須川天心選手の格闘技精神にも好感がもてるエピソードです。
千葉県立松戸南高等学校
那須川天心選手が進学したのは、千葉県立松戸南高等学校です。
高校在学時に所属していたジム「TARGET」のプロ練習は午後1時開始だったことから、授業が午前中のみで終わる“4年制”の高校を選び、格闘技に専念しました。
アマチュア時代の実績の高さから、対戦相手がなかなか決まらなかったものの、高校1年生のときにRISEでプロデビュー。現役日本ランカーとの試合を1ラウンド58秒でKO勝ちしています。
こうして、プロとしてのキャリアをスタートさせた那須川天心選手は、高校時代に29戦29勝の戦績をのこしました。
キックボクシングの平均年間試合数は4回と言われているなか、格闘技と学業を両立しながら年間約7試合を戦った那須川天心選手。
彼が高校時代の4年間、いかに格闘技と向き合ったのかが伝わってくる戦績です。
画像引用元:Number Web
そして、格闘技と勉学を両立させた那須川天心選手は、2018年3月に松戸南高等学校を卒業しています。
高校卒業後の那須川天心選手のコメントは、以下の通りです。
格闘家としての四年間は短かったけれど高校生としての四年間は長く感じました、、!笑
それくらい充実してたという事かな〜
自分は格闘技をプロとして本気でやるために四年生の高校を選びました。
最初は普通科の高校が羨ましいと思ったり、めちゃくちゃ楽しそうで充実してるな〜と思ったこともありました。
けれど今は違います。
四年間通ったから出来たこと、成し遂げた事が沢山あります。
周りと比べたら自分はめちゃくちゃ充実してるじゃないか!!と今は思います。
これが本当のリア充です。笑
四年間の間、沢山の人にお世話になりました。
格闘技中心の4年間を過ごしたため、高校時代の友達はいないと言う那須川天心選手ですが、多くの人に支えられ、充実した日々だったことがわかります。
那須川天心の経歴
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ここでは、15歳でプロデビューを果たした那須川天心選手の経歴を深く掘り下げていきます。
- プロデビュー以来無敗の戦績
- 那須川天心が神童と言われる理由は?
- 唯一の黒星はエキシビションマッチでのメイウェザー戦
那須川天心選手がキックボクシングからプロボクシングに転向するまでの活躍を振り返っていきましょう。
プロデビュー以来無敗の戦績
那須川天心選手はプロデビュー以来47戦無敗の戦績を誇ります。さらに注目すべきは、約66%というKO率の高さです。
- キックボクシング:42戦42勝(28KO)
- 総合格闘技:4戦4勝(2KO)
- ミックスルール:1戦1勝(1KO)
これまでに獲得したタイトルもみていきましょう。
- 第6代RIZEバンタム級王座
- BLADE FC JAPAN CUP -55kg トーナメント2015優勝
- ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王座
- RIZIN KICK ワンナイトトーナメント2017優勝
- 初代RISE世界フェザー級王座
- ISKAフリースタイルルール世界フェザー級王座
- RIZE WORLD SERIES 2019 -58kg Tournament 優勝
「キックボクシング史上最高の天才」と称された那須川天心選手は、圧倒的な強さでキックボクシング人生を駆け上がっていきました。
那須川天心が神童と言われる理由は?
幼少期から格闘技を始めた那須川天心選手は、キックボクシングで数々のタイトルを獲得していくうちに、いつしか“神童”と言われるようになりました。
ちなみに神童とは「才知の極めて優れている子供」、「非凡な才能をもった子供」をいう意味で使われる言葉です。
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那須川天心選手が神童と言われる理由を3つ紹介します。
- 10代でのタイトル獲得:わずか15歳でプロデビューを果たし、10代で数々のタイトルを獲得してきた
- 無敗という圧倒的な戦績:プロデビュー以来無敗の戦績を誇り、高いKO率で数々のトップファイターに勝利してきた
- 魅力的なファイトスタイル:切れ味抜群のカウンターパンチ、圧倒的なスピード、相手のパンチを見切るディフェンスが特徴。試合中に見せる独特のパフォーマンスも魅力の一つ
これら、幼少期からの才能や戦績、技術の高さが、那須川天心選手を“神童”として称える大きな要因といえるでしょう。
唯一の黒星はエキシビションマッチでのメイウェザー戦
プロデビュー以来無敗の戦績を誇る那須川天心選手ですが、唯一黒星を喫したのは、エキシビジョンマッチでのフロイド・メイウェザー戦です。
メイウェザーは、50戦50勝(27KO)の無敗の戦績を誇り、史上初の無敗で5階級制覇を成し遂げたボクシング界伝説のチャンピオンです。
メイウェザーはすでに現役を引退しているものの、那須川天心とは約5kgの体重差があるうえに、ルールは純粋なボクシングということもあり、周囲からは「危険すぎる」「非常識」という厳しい声も飛んでいました。
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「那須川天心選手のパンチは一発も当たらない」と予想され、試合序盤から笑顔で余裕を見せるメイウェザー。
しかし、那須川天心選手の左ストレートが顔面にクリーンヒットすると、メイウェザーの顔つきが一変。
一気に圧力をかけられた那須川天心選手は、1ラウンドで3度のダウンを喫し、わずか1ラウンド2分19秒でTKO負けとなりました。
本気のメイウェザーに子供扱いされた那須川天心選手は、試合後のリング上で号泣。
試合後のインタビューでは、「エキシビジョンマッチなので“負け”とははならないんですけど、心には一生残るんで、この経験は何よりも大きいものだと思うんで、今日のことは絶対忘れないです」と、悔しさをにじませました。
那須川天心がボクシングに転向した理由は?
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「格闘技の象徴になりたい」
これが、那須川天心選手が口にしたボクシング転向の理由です。
世界的に見てメジャーなボクシングに対し、キックボクシングはマイナーな競技。
競技人口やファイトマネー、メディアでの取り上げられかたにも大きな差があります。
ボクシングへの転向により、那須川天心選手自身が格闘技の象徴となることで、格闘技界全体を盛り上げていきたいという思いだったに違いありません。
「ボクシングを舐めているわけじゃないし、尊敬している。キックよりボクシングが凄いとかいう気持ちも全くない。どちらも素晴らしい競技」。胸の中心にあるのは「どの競技にも対応して、極められるようにしたい」
引用:THE ANSWER
さらに、那須川天心選手の“挑戦心”に火がついたのも、ボクシングに転向した理由の一つでしょう。
「キックボクシングでは全部やりきったという思いがあります。思い返してみると終盤は楽しさはなく、何か刺激ではなかった。ずっとチャンピオンでいるのは好きじゃない。自分がどこまでいけるのかというのを知りたくて。一から新しいものに挑戦しないと、ということでボクシングを選びました」
引用:NHK
那須川天心選手の“格闘技人生第2章”はまだ始まったばかりです。
これからも、那須川天心選手の挑戦から目が離せそうにありません。
那須川天心の今後の展望は?
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現在、WBCバンタム級3位、WBAバンタム級2位の那須川天心選手が見据えるのは、当然、バンタム級世界王者の座。
そして、現在のバンタム級世界王者は4人の日本人選手が分け合っています。
- WBA世界王者:井上拓真(大橋)
- WBC世界王者:中谷潤人(M・T)
- IBF世界王者:西田凌佑(六島)
- WBO世界王者:武居由樹(大橋)
そのなかでも、同じキックボクシング出身(K-1)の武居由樹選手の存在は、那須川天心選手にとって大きな刺激になっているようです。
武居由樹選手もまた、那須川天心選手の存在を意識しており、今後の対戦に向けての熱い想いを語っています。
「ファンの方からはやっぱり天心選手との試合が見たいという声も大きい。天心選手とボクシングでやれればという気持ち、ずっとやりたかった気持ちがあった。正直、K―1時代からやりたい気持ちがあった」
引用:スポーツ報知
また、那須川天心選手は、日本人対決となる世界戦についての意気込みを次のように口にしています。
「まだ全然タイトルに絡む試合をしているわけじゃないですけど、日本人王者の方が狙いやすいし盛り上がるみたいなのがあるので、自分のために4団体全て日本人王者になったんじゃないかというぐらいの気持ちでいます」
引用:中日スポーツ
さらに、格闘技ファンが期待するのは、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥選手(大橋)との一戦でしょう。
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井上尚弥選手は、将来的な那須川天心選手との対戦プランに対し「まだ土俵に上がっていない」と、一蹴。
たしかに、まだ世界挑戦すらしていない那須川天心選手とのマッチメイクは、現時点では非現実的なことに間違いありませんが、格闘技界にとって最も注目度の高い一戦といえるでしょう。
まとめ
今回は、那須川天心選手の経歴について深く掘り下げてきました。
この記事のまとめは以下の通りです。
- 格闘技を始めたきっかけ:“しっかりと礼儀を身につけるため”という、父・弘幸さんからのすすめがあったこと
- 学歴:松戸市立栗ヶ沢小学校 / 松戸市立栗ヶ沢中学校 / 千葉県立松戸南高等学校
- 戦績:キックボクシング 42戦42勝(28KO)/ 総合格闘技 4戦4勝(2KO)/ ミックスルール 1戦1勝(1KO)
- 神童と言われる理由:10代で数々のタイトルを獲得 / 無敗という圧倒的な戦績 / 魅力的なファイトスタイル
- 唯一の黒星:エキシビジョンマッチでのフロイド・メイウェザー戦 / 1ラウンド2分19秒でTKO負けとなったが公式記録に負けは記録されない
- ボクシング転向の理由:世界的にメジャーなボクシングで「格闘技の象徴になりたい」と思ったから
- 今後の展望:バンタム級世界チャンピオンを目指し4人の日本人チャンピオンとの対戦を見据える →WBA世界王者:井上拓真(大橋)/ WBC世界王者:中谷潤人(M・T)/ IBF世界王者:西田凌佑(六島)/ WBO世界王者:武居由樹(大橋)
那須川天心選手はキックボクシングで無敗の戦績を誇りながら、あえてボクシング転向を決意しました。
“無敗伝説第2章”とも言われるプロボクシングの世界で、今後も多くの格闘技ファンを熱狂させていくことでしょう。