井上尚弥と中谷潤人はどっちが強い?日本人無敗王者同士の対決が実現する可能性は?

井上尚弥 中谷潤人 どっちが強い

ボクシングファンの間で今最も注目を集めているのが、“無敗”の世界王者同士である井上尚弥選手と中谷潤人選手の対戦です。

この二人は、それぞれ異なる階級で世界の頂点に立ち、パウンド・フォー・パウンド(全階級最強ランキング)のTOP10に名を連ねています

もしこの対戦が実現すれば、ボクシング史上に残る一戦となることは間違いありません。

井上尚弥選手は圧倒的なパワーと卓越したカウンター技術を駆使し、スーパーバンタム級4団体統一王者としてその名を世界に轟かせています。

一方の中谷潤人選手は、スピードとテクニックを武器に、WBC世界バンタム級王者を獲得。無敗の実績を積み重ねています。

ボクシング関係者からは「現時点では井上尚弥が優位」との声が多いものの、将来的な対戦では中谷潤人選手が勝利する可能性も十分にありそうです。

この記事では、二人の実績やスタイルを詳しく分析し、もし対戦が実現した場合の勝敗予測や試合展開を探っていきます

「最終的にどちらがリングで勝利を手にするのか」、ご自身の予想とも照らし合わせながら、最後までお楽しみください。

井上尚弥の実績

 

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まずは、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥選手の実績を見ていきましょう。

  • アマチュア戦績:81戦75勝(48KO・RSC)6敗
  • プロ戦績:28戦28勝(25KO)無敗
  • PFPランキング:2位

※2024年10月時点

1993年4月10日、神奈川県生まれ。

元アマチュアボクサーだった父の影響を受け、小学1年生のときにボクシングを始めます。

その後、高校1年生でインターハイ・国体・選抜の三冠を達成。高校生にして、ボクシング史上初となる7つのタイトルを獲得し、2012年10月にプロデビューを果たしました。

プロデビュー後の主な獲得タイトルは以下の通りです。

年代 タイトル
2013年
  • 日本ライトフライ級王座獲得
  • OPBF東洋太平洋ライトフライ級王座獲得
2014年
  • WBC世界ライトフライ級王座獲得
  • WBO世界スーパーフライ級級王座獲得
2018年
  • WBA世界バンタム級王座獲得
2019年
  • IBF世界バンタム級王座獲得
2022年
  • WBC世界バンタム級王座獲得
  • WBO世界バンタム級王座獲得
2023年
  • WBA世界スーパーバンタム級王座獲得
  • WBC世界スーパーバンタム級王座獲得
  • WBO世界スーパーバンタム級王座獲得
  • IBF世界スーパーバンタム級王座獲得

中谷潤人の実績

続いて、WBC世界バンタム級王者・中谷潤人選手の実績を見ていきましょう。

  • アマチュア戦績:16戦14勝2敗
  • プロ戦績:29戦29勝(22KO)無敗
  • PFPランキング:9位

※2024年10月時点

1998年1月2日、三重県生まれ。

小学3年生から極真空手を始め、小学6年生のときにボクシングへ転向しました。

中学卒業後は高校へ進学せず単身で渡米。ボクシング留学で武者修行を積んだのち、2015年4月にプロデビューを果たしました。

プロデビュー後の主な獲得タイトルは以下の通りです。

年代 タイトル
2016年 全日本フライ級新人王獲得
2017年 初代日本フライ級ユース王座獲得
2019年 日本フライ級王座獲得
2020年 WBO世界フライ級王座獲得
2023年 WBO世界スーパーフライ級王座獲得
2024年 WBC世界バンタム級王座獲得

井上尚弥と中谷潤人はどっちが強い?

井上尚弥 中谷潤人画像引用元:スポニチ

「井上尚弥選手と中谷潤人選手はどっちが強いのか?」

ボクシングファンのみならず、多くのボクシング関係者も二人が対戦したことを想定した「勝負論」で盛り上がりを見せています。

そして、勝敗予測をする人たちの大半は「“現時点では”井上尚弥選手が勝つだろう」と、結論を出しています。

中谷潤人選手と同じルディ・エルナンデスコーチを師にもつ、元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪さんも「“現時点では”井上尚弥選手がKO勝ちするだろう」と語ります。

両者とも“無敗”での世界王者として圧倒的な強さを見せつけていますが、階級や年齢、経験など、さまざまな要素を加味すると、たしかに“現時点では”井上尚弥選手に分がありそうです。

ただし、将来試合が実現した時の階級や年齢といった要素が変わってくれば、中谷潤人選手が勝利を収める展開も十分に考えられるでしょう。

今後、どんなタイミングでふたりの対戦が実現するのか、両陣営のマッチメイクにも注目が集まりそうです。

井上尚弥と中谷潤人の試合が実現したらどんな展開になる?

 

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井上尚弥選手と中谷潤人選手の対戦が実現したらどんな展開になるのでしょうか。

両者のこれまでのファイトスタイルから試合展開を予測していきます。

距離感が鍵になる?

二人の対戦で、まず鍵になってくるのは互いの“距離感”です。

試合序盤は、170cmの長いリーチを活かし、遠い距離から“ちょんちょん”と右腕を出す独特のジャブでリズムを整える中谷潤人選手に対し、井上尚弥選手も、十分な距離をとりながら中谷潤人選手の出かたをうかがう展開になるでしょう。

両足のスタンスを広めにとる中谷潤人選手の懐が深いため、井上尚弥選手であっても、うかつに距離を詰めることは危険です。

井上尚弥選手は、距離をとりながら中谷潤人選手の動きを分析・対応していく。

中谷潤人選手は、ロングアッパーなど、遠い距離からのパンチでクリーンヒットを狙う。

試合序盤から中盤にかけては、遠い距離感での攻防を繰り広げながらラウンドが進んでいきそうです。

多彩な戦い方

井上尚弥選手と中谷潤人選手は、ともに攻守に優れた“オールラウンダー”として知られています。

インファイトからアウトファイトまで、どんな状況にでも適応し、互いに隙のない戦い方を展開するでしょう。

その中で、勝敗を左右しそうなのは、中谷潤人選手の「テクニカルなパンチ」と、井上尚弥選手の「カウンターパンチ」です。

中谷潤人選手は、30種類あると言われる多彩なパンチを的確にヒットさせていくのが得意パターン。中谷潤人選手のパンチの“当て感”は群を抜いています

一方の井上尚弥選手は、相手のパンチにタイミングを合わせる“カウンターパンチ”が持ち味です。

最大の強みは、井上尚弥選手の「順応力」。

どんなパンチでも試合中に見極め、“全てのパンチ”に対しカウンターを当てていきます

中谷潤人選手の多彩なパンチに、井上尚弥選手のカウンターがヒットし始める。

ラウンドが進むごとに、井上尚弥選手が徐々にペースを掴んでいきそうです。

二人のハイレベルな駆け引きから、一瞬たりとも目を離せなくなるでしょう。

スピードとパワーの対決

井上尚弥選手と中谷潤人選手は、どちらもスピード・パワーともに超一流の能力を持ち合わせていますが、ボクシング界のレジェンドで、元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏は、「スピードの中谷潤人、パワーの井上尚弥」と、二人の特徴を位置付けました。

「中谷、井上、両チャンピオンを比べたら、パワーが違うんですよ。中谷さんは(井上ほどの)パワーは感じない。ただ、切れるパンチ、スピードはありますね。井上チャンピオンはパワー。(対戦相手は)相当ダメージのある倒れ方。立てない。それぐらいの破壊力がある」

引用:東スポWeb

また、オフェンス面でのスピードとパワーがクローズアップされがちな両者ですが、井上尚弥選手の凄さは、スピードを活かしたディフェンスにも現れます。

井上尚弥選手はパンチを1発打つと、すぐにステップを踏み、相手の目の前から消えてしまう。その驚異的なスピードは、“ヒット&アウェイ”の完成系ともいえます。

実際、試合後の井上尚弥選手の顔はいつも“キレイ”なまま。目の上をカットしたのも、ノニト・ドネア選手との一戦のみです。

中谷潤人選手のパンチスピードが、井上尚弥選手のディフェンススピードをとらえることができるのか

ここが、試合の流れを決めるターニングポイントとなりそうです。

実現する階級による影響は?

両者の対戦には、階級による影響が大きく出そうです。

現在、スーパーバンタム級でベストパフォーマンスを発揮している井上尚弥選手と、そろそろバンタム級での減量が厳しくなってきた中谷潤人選手。

二人の対戦が実現する、ベストな階級は「スーパーバンタム級」でしょう。

井上尚弥選手が所属しているジムの大橋会長が、「井上尚弥はこの階級(スーパーバンタム級)が一番強い」と、言うとおり、井上尚弥選手はスーパーバンタム級でのコンディション調整がフィットしています。

一方の中谷潤人選手は、身長172cmと井上尚弥選手よりも7cm高く、必要な筋力をつけながら階級を上げることができる体格です。

つまり、両者ともにベストパフォーマンスが発揮できるのは中谷潤人選手が階級を一つ上げた「スーパーバンタム級」と言えます。

しかし、試合実現が2025年となれば、井上尚弥選手が有利です。

なぜなら、階級を上げたばかりの選手には、身体のパフォーマンスを階級にフィットさせる時間(調整試合)が必要になるからです。

井上尚弥選手はすでにスーパーバンタム級で試合をこなしているため、階級へのフィット感に問題無し。

一方、中谷潤人選手がスーパーバンタム級でベストパフォーマンスを発揮するには、フィット感を高めるための時間が足りない可能性がでてくるでしょう。

 

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もし、二人の対戦がスーパーバンタム級より一つ上の「フェザー級」になれば、また状況が変わります。

フェザー級選手の平均身長は170cmと言われていることから、身長172cmの体格を持つ中谷潤人選手は、フェザー級でベストパフォーマンスを発揮できる可能性が高く、身長165cmの井上尚弥選手は、筋肉量の増加によりスピードが落ちてしまう可能性があるからです。

ちなみに、中谷潤人選手は「日本人初の6階級制覇」を目標としていることもあり、フェザー級よりさらに一階級上のスーパーフェザー級あたりも視野に入れていると思われます。

そもそも、中谷潤人選手は172cmの身長がありながら、フライ級のリングで戦えていたこと自体が驚きです。

以上のことから、二人の対戦が「フェザー級」での試合となれば、中谷潤人選手が有利になる可能性が高そうです。

井上尚弥と中谷潤人の試合が実現する可能性は?

ここでは、井上尚弥選手と中谷潤人選手の試合実現の可能性を、以下の2つのポイントに絞って解説していきます。

  • 試合実現の条件
  • 試合実現のタイミング

それぞれを確認しながら、ボクシングファンが期待する“ビッグマッチ”までの道筋を見ていきましょう。

試合実現の条件

井上尚弥選手と中谷潤人選手の試合実現に向け、クリアすべき条件が3つあります。

  1. 井上尚弥選手、中谷潤人選手ともに“無敗”であること
  2. 井上尚弥選手と中谷潤人選手が同じ階級であること
  3. 中谷潤人選手が世界バンタム級王者を統一すること

一つ目は、二人が“無敗”であることです。

ボクシングファンはもちろん、試合を開催するプロモーターが期待するのは「無敗の日本人同士による世界戦」です。

つまり、井上尚弥選手と中谷潤人選手の試合が実現するためには、お互いが“無敗”であることが必須の条件となるでしょう。

二つ目は、井上尚弥選手と中谷潤人選手が同じ階級であることです。

別の言い方をすると、「井上尚弥選手がスーパーバンタム級にとどまる間に、中谷潤人選手がスーパーバンタム級に階級を上げられるか」ということになります。

井上尚弥選手は、2026年にはフェザー級に階級を上げることが確定路線と言われているため、中谷潤人選手が2025年中に階級を上げるのかに注目が集ります。

三つ目は、中谷潤人選手が世界バンタム級王者を統一することです。

二人と共同プロモート契約を結ぶ米興行大手・トップランク社のボブ・アラムCEO、「来年(2025年)、井上と中谷が対戦して、日本で歴史的な試合になるだろう」と発言。

ただし、試合実現のためには、中谷潤人選手がバンタム級のベルトを統一することが条件だとしています。

現在バンタム級の王座は、中谷潤人選手のほかに、WBA世界バンタム級王者・堤聖也選手、WBO世界バンタム級王者・武居由樹選手、IBF世界バンタム級王者・西田凌佑選手と、日本人選手が独占しています。

中谷潤人選手のバンタム級王者統一に向けて、3人の王者のうち誰と試合が組まれるのか。

次戦のマッチメイクが井上尚弥戦に向けてのキーポイントになるでしょう。

試合実現のタイミング

井上尚弥選手と中谷潤人選手の試合が実現するとすれば、2025年の開催が有力でしょう。

なぜなら、ボクシングの試合開催には“タイミング”が大きく関わってくるからです。

ふたりの試合実現のタイミングとは、前述した、①井上尚弥選手、中谷潤人選手ともに“無敗”であること、②井上尚弥選手と中谷潤人選手が同じ階級であること、③中谷潤人選手が世界バンタム級王者を統一すること、これら3つの条件を満たしたときのことをいいます。

なかでも、二人が同階級になるタイミングが最も重要です。

この先、井上尚弥選手と中谷潤人選手が同じペースで試合を行い、二人とも無敗だったとすると、以下の流れで試合が実現しそうです。

  1. 中谷潤人選手が次戦で世界バンタム級王座を統一
  2. 中谷潤人選手がバンタム級王座を返上し、スーパーバンタム級へ階級を上げる
  3. 中谷潤人選手がスーパーバンタム級で調整試合を一試合挟む
  4. ふたりの“ビッグマッチ”実現

この“タイミング”が訪れるのが、2025年12月になりそうです。

もし、2025年に試合が実現しないまま、井上尚弥選手が2026年にフェザー級へ階級を上げるとなると、中谷潤人選手は現在のバンタム級から2つ階級を上げる必要があるため、試合実現の時期は遠ざかります。

以上のことから、井上尚弥選手と中谷潤人選手の試合が実現するならば、2025年内の可能性が高いと言えるでしょう。

井上尚弥と中谷潤人の対戦にファンの反応は?

井上尚弥 中谷潤人画像引用元:東スポWeb

2024年10月21日、都内で行われたインタビューにて、井上尚弥選手が中谷潤人選手との対戦について言及。

「PFP1位になりたい若者がいる。その若者が上がってくるのを待つしかない」と、中谷潤人選手との対戦を快諾したとも取れる発言をしたことで、“ビッグマッチ”実現への期待値が一気に高まりました。

「(中谷が)1位を目指したいというのは、もうそういうこと(自分と対戦したいということ)じゃないですか。バンタム級で1位を目指したいのか、どこ(の階級)で1位を目指したいのかわからないですけどね。(14日の試合は)やっぱり強いなと思いました。だからこそ、自分も興味がある」

引用THE ANSWER

井上尚弥選手も自身のXで、このインタビュー記事を引用し、投稿しています。

この井上尚弥選手の投稿には、多くのボクシングファンからコメントが寄せられました。

  • 中谷選手は強い。それでも圧勝するんだろうなぁ、、、
  • 確かに中谷選手はめちゃくちゃ強いですし好きですが、尚弥さんには誰にも負けて欲しくないので、絶対勝ってください!
  • 強い相手と迷わず戦うところが凄く好きです!きっと井上尚弥選手が勝つと信じてます!
  • これよこれ!強いヤツとやるのがモンスター!
  • これはみたい!!!お互いがベストの状態でみたい!!!

やはり、井上尚弥選手の勝利を信じる声、そして、両者の対戦を期待する声が多く見られます。

一方で、以前は井上尚弥選手優勢の声が大半だったものの、中谷潤人選手が世界戦3連続KO勝ちをおさめたことで、「“互角以上”の勝負になるのではないか」という、期待の声が急増しているのも事実です。

徐々に現実味を帯びてきた「井上尚弥vs中谷潤人」の一戦に向け、ボクシングファンのボルテージが上がってきていることに間違いありません。

まとめ

今回は、「井上尚弥選手と中谷潤人選手はどっちが強い?」という、勝負論について熱く解説してきました

この記事のまとめは以下の通りです。

  • 井上尚弥選手の実績:アマチュア戦績:81戦75勝(48KO・RSC)6敗 / プロ戦績:28戦28勝(25KO)無敗 / PFPランキング:2位
  • 中谷潤人選手の実績:アマチュア戦績:16戦14勝2敗 / プロ戦績:29戦29勝(22KO)無敗 / PFPランキング:9位
  • 井上尚弥選手と中谷潤人選手はどちらが強い?:“現時点”では井上尚弥選手優勢の声が多数 / 対戦する階級やマッチメイクの時期によっては中谷潤人選手勝利の可能性も高まる
  • 二人が対戦した時の試合展開:序盤は遠い距離感での戦いが続きそう / 中盤以降は井上尚弥選手のカウンターが徐々にヒットしていきそう / 勝負を分けるのは中谷潤人選手のパンチが井上尚弥選手のディフェンスを崩せるか / 階級はスーパーバンタム級であれば井上尚弥選手優勢・フェザー級以上であれば中谷潤人選手優勢と推測する
  • 二人の試合実現の可能性は?:互いが順調に勝利を積み重ねて行けば2025年12月に試合が開催される可能性が高い
  • 二人の対戦へのファンの反応:「井上尚弥選手の勝利を信じる」「 試合開催が楽しみ」  「中谷潤人選手なら互角以上の戦いになりそう」 / 現実味を帯びてきた二人の対戦にボクシングファンのボルテージが上がってきている

「井上尚弥選手と中谷潤人選手はどちらが強いのか?」

今、この論争に明確な答えを出せる人は誰もいないでしょう。

今後もボクシングファン同士で熱い議論を交わしながら、二人の“ビッグマッチ”を心待ちにしましょう。